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公開日:2025.09.25 / 更新日:2025.09.22

水道から赤サビの原因はコレ!今すぐできる掃除・除去の完全ガイド

水道から赤サビが出たときのサイン、飲用の安全性、主因(宅内配管の腐食・断水/工事後の堆積物・貯水槽管理不良)を解説。シンクや蛇口の掃除・除去(クエン酸/重曹・分解清掃)、衣類のシミ対処、再発防止(フラッシング・前置フィルター・配管更新)、水道局・指定工事店への相談基準まで網羅。結論: 多くは配管内サビで、まず十分な放水とフィルター清掃が有効。交換目安や費用相場も分かる。戸建てとマンションの違いも整理。

1. 水道から赤サビが出るときのサインと危険性

蛇口から出る水が赤茶色に見える「赤水」は、多くの場合、宅内配管や貯留設備に由来する鉄サビや微細な酸化鉄粒子が混入している状態を指します。まずは、水の見た目・におい・味・粒子の有無といった感覚的なサインを体系的に捉え、飲用の可否や生活への影響度を判断することが重要です。色・におい・味に異常がある水は飲用に回さず、現象の出方と持続性を冷静に観察することが、正しい対処につながります。

1.1 赤水と濁りの見分け方

赤水は、赤茶色〜褐色の着色が特徴で、透明容器に採水して静置すると底部に茶色い沈殿がたまることが多い一方、白濁は無色透明の気泡が原因で、時間経過で上から下へと透明に戻るのが典型です。混同しがちな「赤水」と「濁り」を、発生状況・時間変化・見た目で整理すると違いが明確になります。

観察ポイント赤水(鉄サビ由来)の特徴白濁(気泡・空気混入)の特徴判断の目安
色合い赤茶色〜褐色。透明感が低い。乳白色だが着色はない。色味がつくなら赤水の可能性。
時間変化静置で底に茶色い沈殿が残る。数分で上から透明に戻る。沈殿の有無で判定しやすい。
発生タイミング長期不使用後の出はじめ、断水・工事直後、朝一番に出やすい。どの時間帯でも一時的に起こることがある。使用履歴や周辺工事情報も手がかり。
影響の出方洗面ボウル・シンク・洗濯物に赤茶色の着色が残る。跡は基本的に残らない。着色が残る場合は赤水寄り。

同じ蛇口でも、「最初の数秒だけ赤茶色で、その後は透明に戻る」場合は、配管内にたまった鉄サビが最初に流れ出たサインである可能性が高い一方、「常時にごりや着色が続く」場合は、宅内配管の腐食進行や受水槽・貯水槽の堆積物など、より根本的な要因が疑われます。色が持続する、沈殿が繰り返し出る、家中の複数の蛇口で同時に起こるといった現象は見逃さないようにしましょう。

1.2 鉄っぽい臭い味粒の有無で判断するポイント

赤水かどうかの手がかりとして、「金属臭(鉄っぽいにおい)」「金属味(硬貨を口に含んだような味)」「茶色〜赤褐色の微細粒子」の三点を丁寧に観察します。

においは、蛇口直下で採水してすぐに嗅ぐと感じ取りやすく、金属臭や土臭さがある場合は鉄サビや堆積物由来の可能性が高まります。味は無理に口に含む必要はありませんが、調理や飲用で「金属味・渋味」を感じたときは赤水を疑い、飲用を避ける判断材料になります。見た目では、透明容器に採水して光に透かすと、浮遊する赤褐色の微粒子や、底に沈む茶色い粒が確認しやすくなります。

また、蛇口の先端(泡沫器・整流器)やシャワーヘッドに細かな粒がひっかかると、吐水がムラになったり細かな茶色の点が飛ぶことがあります。これは赤サビだけでなく、活性炭カートリッジの粉や給湯側のスケールでも起こり得るため、色(赤褐色)、質感(指でこすると茶色に広がる)、発生タイミング(出はじめのみか常時か)を組み合わせて見極めることが大切です。

1.3 飲用の安全性と健康影響の基礎知識

日本の水道水は厳しい水質管理が行われていますが、配水本管や宅内配管の状況、受水槽の管理状態などにより、一時的に赤水が出ることがあります。赤水の主因となる鉄分や酸化鉄粒子は、見た目・味・においを大きく損ねるため、色やにおいに異常がある水は飲用や調理に使わないのが原則です。赤茶色の着色が確認できる間は、歯みがきやうがい、乳幼児のミルクづくり、薬の服用など口に入る用途への使用を避けましょう。

健康面だけでなく生活面の影響も無視できません。たとえば洗濯物の色移りや、食器・シンク・洗面ボウルへの着色、給湯器・混合水栓・シャワーヘッドのストレーナー目詰まりなどが起こり得ます。こうした影響は繰り返すほど蓄積しやすいため、現象が頻発・長期化する場合は水質と配管状態の点検を早めに検討することが望まれます。

状況考えられるリスク生活への影響の例飲用の可否の目安
赤茶色の水が一時的に出る配管内の堆積サビの流出一過性の着色、浴室やシンクの汚れ着色がある間は飲用不可
赤水が継続・再発する配管腐食の進行、貯水設備の管理不良洗濯の色移り、器具の目詰まり原因確認まで飲用不可
白くにごるが数分で透明に戻る微細な気泡の混入見た目のみで残留物は少ない透明に戻れば飲用可の目安

赤水が出た場合は、発生頻度、持続時間、発生場所(冷水・温水、特定の蛇口のみか全蛇口か)を記録しておくと、原因の切り分けと適切な対応を選ぶうえで役立ちます。「色・におい・味の異常」や「沈殿の反復」を確認したら飲用は避け、現象の推移を見守ることが、安全確保の基本姿勢です。

2. 水道から赤サビの主な原因

水道から赤茶色の水(いわゆる赤水)が出る主因は、配管内面の腐食や堆積物の剥離、貯水設備の管理不良、末端機器のフィルター詰まりなど、複数の要因が重なることです。建物の築年数、配管材質(水道用亜鉛メッキ鋼管・銅管・ステンレス管・塩ビライニング鋼管・架橋ポリエチレン管など)、水質(残留塩素・pH・硬度)、流速や滞留時間、給湯側の高温条件、電食(異種金属接触)といった条件が赤サビ発生のリスクを左右します。

2.1 宅内配管の腐食による鉄サビ

赤水の原因として最も多いのが宅内給水管の内面腐食です。鉄系配管では、内面に黒錆(マグネタイト)と赤錆(ヘマタイト)が形成され、流量や圧力が変化した際に赤錆やスケールが剥離して水に混入します。継手部・エルボ・バルブ周りは乱流・電食・応力が集中しやすく、腐食が進行しやすい部位です。給湯器側は高温・溶存酸素の影響で腐食速度が上がる傾向があり、朝一番や長時間不在後の初流で赤水が出やすくなります。

2.1.1 亜鉛メッキ鋼管と古い給水管の寿命目安

亜鉛メッキ鋼管(溶融亜鉛めっき鋼管)は、内外面の亜鉛層が鉄を保護しますが、経年で亜鉛層が消耗すると基材の鋼が腐食しやすくなります。築年数が進んだ戸建て・集合住宅では、朝夕の初流のみならず連続的な濁りや赤サビ粒の混入、吐水量低下・シャワーの勢い低下などが現れやすくなります。一般的には20〜30年程度が劣化の目安とされますが、水質・使用状況・土壌条件・電食の有無で大きく前後します。

配管種別使用時期の傾向典型的な劣化の兆候寿命の一般的目安赤水との関係
亜鉛メッキ鋼管昭和期〜平成初期に広く採用赤水・濁り、サビ粒混入、吐水量低下、継手周りの漏水約20〜30年(条件により前後)内面の赤錆剥離で一時的または継続的に発生
古い鋼管(塗装鋼管など)古い建物の残存配管に見られる局所腐食・閉塞、黒いスケールと赤錆の混在20年以上で要注意(環境依存が大きい)圧力変動や断水復旧時に赤水が顕在化しやすい
塩ビライニング鋼管平成以降に多い(内面樹脂ライニング)ライニング損傷部周辺で局所的腐食・濁り長寿命だが損傷部は早期劣化損傷箇所から赤水が点在的に発生

築年数と配管材質が不明な場合でも、メーターバルブから蛇口までの一部更新や継手交換の履歴、外観の管種表示で推定できます。築古物件で赤水が断続的に続くなら、宅内配管の老朽化が主因である可能性が高く、部分補修では再発しやすい点に留意が必要です。

2.1.2 銅管やステンレス管でも起こり得るケース

非鉄金属の銅管・ステンレス管でも、条件がそろうと赤茶色の濁りや金属味が出ることがあります。銅管は高流速・残留塩素・硬度・微生物影響などが重なるとピンホール腐食が発生し、銅イオン由来の金属味や青緑色の着色が現れる場合があります。ステンレス管は耐食性が高い一方、塩化物イオンが高い環境や溶接熱影響部で不動態皮膜が破壊されると孔食・すきま腐食のリスクがあり、もらいサビ(周囲の鉄サビ付着)で赤茶色に見えることもあります。

材質主な劣化モード発生を助長する条件赤水・異常のサイン
銅管ピンホール腐食、均一腐食高温給湯、高流速、残留塩素、低pH・高硬度、滞留金属味、青緑色着色、微細漏水、局所的濁り
ステンレス管孔食・すきま腐食、もらいサビ塩化物イオン、溶接部の仕上げ不良、鉄粉付着赤茶色の点状変色、局所濁り、継手部の変色

銅・ステンレス自体が赤錆(鉄錆)を出すわけではありませんが、上流の鉄系配管やポンプ・バルブ由来の鉄サビが混入して赤水に見えるケースは少なくありません。

2.2 断水や工事再開後に出る赤茶色の一時的発生

配水本管や宅地内での断水・減圧・工事後は、流速や圧力の急変で本管・引込管・宅内管の内面に付着していた鉄サビ・マンガン酸化物・沈積物が剥離し、復水初期に赤茶色の濁りやサビ粒が一時的に流出します。朝一番の使用開始時も同様に滞留水の影響で濁りや金属臭が出やすくなります。多くはフラッシング(放流)により短時間〜数十分で透明化しますが、長時間続く場合は宅内側の腐食進行や局所閉塞の疑いが高まります。

状況主因継続時間の目安見分けのヒント
断水・工事復旧直後沈積物の剥離・巻き上がり短時間〜数十分複数蛇口で同時に発生し、放流で改善
朝一番・長期不在後滞留水の劣化・局所腐食初流のみ〜数分最初だけ赤茶色で、徐々に透明化
長時間継続・再発宅内配管の腐食進行・閉塞繰り返し発生特定系統・給湯側で顕著、サビ粒が多い

周辺の近隣でも同様の事象が同時に出ていれば配水系の影響が疑われます。復旧直後は飲用・炊事・洗濯を避け、透明になるまで十分に放流するのが基本です。

2.3 受水槽や貯水槽の管理不良と堆積物

マンション・ビル・一部の大型戸建てでは、受水槽・高置水槽を介して給水する方式があり、槽内の堆積物・鉄サビ・マンガン・バイオフィルム、ボールタップや鋼製部品の腐食、配管更新の遅れなどの管理不良が赤水の原因になります。槽内の清掃や水質管理が適切でないと、ポンプ起動・満水切替時などに沈積物が下流に流入し、赤茶色の濁りやサビ粒が各戸で同時に見られます。

典型的な不良メカニズム兆候・症状影響範囲
槽内清掃不足・沈積物蓄積沈降した鉄・マンガン酸化物が攪拌で流出赤茶色の濁り、サビ粒、異臭同一棟の複数戸で同時発生
金属部品の腐食ボールタップ・配管金属部からの腐食生成物断続的な赤水、粒状サビ系統全体または系統局所
水位・滞留管理不良過剰滞留で水質劣化、沈積物増加金属味、濁りの長期化全館

同一建物内の多数の住戸で同じ時間帯に赤水が発生する場合、受水槽・加圧ポンプ以降の共用設備の管理不良が疑われます。管理会社や貯水槽の点検・清掃業者への報告・改善が必要です。

2.4 蛇口シャワーヘッド内部のサビ汚れとストレーナー詰まり

末端機器の泡沫器(エアレーター)やシャワーヘッド内部のスクリーン、混合水栓のストレーナーは、上流から流れてきたサビ粒やスケールを捕捉します。これが目詰まりすると、吐水が赤茶色に見えたり、勢いが弱く脈動する・特定の蛇口だけ赤水が出るといった局所的な症状が現れます。新品交換後や清掃直後に一時的な赤水が出る場合は、作業で剥がれた堆積物が残っていた可能性が高く、複数回のフラッシングで収まることが多いです。

部位詰まりの主因症状の現れ方原因切り分けのヒント
泡沫器・シャワーヘッドサビ粒・スケールの捕捉、エア混入の不均一赤茶色の粒、霧状の濁り、吐水の偏り該当器具のみで発生、外すと改善しやすい
混合水栓のストレーナー配管内部の剥離物・パッキン粉の堆積温度切替で濁りが変化、出始めだけ赤水給湯側で顕著なら給湯系の堆積物を疑う
トイレ・洗濯機用ストレーナー上流の赤錆粒子が網に集積給水が細くなる、使用直後の濁り網に赤茶色の粒が多いと上流起因の可能性

末端での目詰まりは原因の「受け皿」に過ぎず、上流の配管や貯水設備の問題が潜在していることもあります。特定の蛇口だけで赤水が出る場合は末端機器、複数箇所で同時なら配管や共用設備を疑う、と段階的に切り分けるのが有効です。

3. 今すぐできる対処フロー

赤茶色(赤水・濁り水)が出たら、まず飲用・調理・洗濯を止め、給湯器や浄水器・食洗機・冷蔵庫の自動製氷など精密機器には通水しないでください。次いで、元栓(メーターボックス内の止水栓)と各水栓の止水栓を正しく操作し、系統立ててフラッシング(放水清掃)します。状況が落ち着いたら、水道メーターのパイロットで漏水の有無を確認し、断水や工事の情報をチェックし、近隣にも聞き取りを行いましょう。ここでは、戸建て・マンションのどちらでも実行できる「最短の復旧手順」を示します。

初動チェック項目目的具体的なやり方注意点
飲用・洗濯の一時停止誤飲・着色の回避透明になるまで使用を避ける乳幼児・高齢者は特に注意
給湯器・浄水器の停止機器の目詰まり防止給湯をオフ、浄水器はバイパスフィルターの赤さび吸着を防ぐ
順序だてたフラッシング配管内の堆積物の排出屋外→浴室→洗面→台所→トイレの順透明化を確認しながら短時間ずつ
メーターのパイロット確認宅内漏水の早期発見全蛇口閉後に回転の有無を確認回転あり=漏水の可能性
断水・工事情報の確認外的要因の把握自治体の断水情報・近隣へヒアリング復旧見込みや影響範囲を共有

3.1 元栓と止水栓の確認と順番に開放してフラッシング

最初に元栓と各止水栓の位置を把握します。戸建ては敷地内のメーターボックス内、共同住宅は玄関脇のパイプスペース等にあるのが一般的です(操作方法や位置の例は、吹田市公式ウェブサイト「もしもの時に備えて」参照)。

フラッシングは「水の流れを太い配管から細い配管へ」「汚れを上流から下流へ」の原則で、濁りが出ても排水に影響の少ない蛇口から順に行うのがコツです。各蛇口は全開と中開を繰り返し、配管内の乱流で堆積物を効率よく吐き出します。次の順序と目安を参考にしてください。

順序場所開放時間の目安ポイント
1屋外散水栓(あれば)数分〜透明になるまで泥や赤さびを屋外で排出
2浴室(シャワー・カラン)各系統1〜3分浴室排水口で色・粒状物を確認
3洗面台(給水・給湯を別々に)各系統1〜3分混合水栓は水側→お湯側の順で
4台所(泡沫器はこの段階では外さない)1〜3分浄水カートリッジは必ずバイパス
5トイレ(タンクに給水)1〜2回給水分着色がないか便器内を確認

フラッシング中は排水が赤茶色でも驚かず、透明になったことを目視で必ず確認します。ストレーナーや泡沫器(先端フィルター)は、流速が十分上がるまで外さないほうが詰まりの二次トラブルを避けられます。フラッシング完了後に取り外して洗浄・再装着してください。

元栓や止水栓の操作に不安がある場合は、無理に固着したバルブを回さないでください。破損や漏水の原因になります。バルブの種類(レバー式・ハンドル式・マイナス溝式など)や設置場所の基本は、前掲の吹田市公式ウェブサイトの解説が参考になります。

なお、断水や消火栓の使用、工事再開直後に発生した赤水は一過性であることが多く、さいたま市「濁り水(赤水)について」でも、飲用を避けたうえでしばらく通水し、透明化を確認してからの利用が推奨されています。

3.2 水道メーターのパイロットで漏水を確認

フラッシング後も濁りが続く、またはどこかで水の音がする、床下や壁内が湿っている等の兆候がある場合は、宅内漏水の有無を水道メーターの「パイロット(漏水指標)」で確認します。全ての蛇口・給湯器・トイレの止水栓を閉めた状態でメーターボックスを開け、中央の小さな羽根(または赤い針)が回転していないかを見ます。回転していれば宅内側で漏水している可能性があります(確認方法の基礎は、京都市上下水道局「水漏れの発見方法」に沿って行えます)。

パイロットが停止している場合は大きな漏水の可能性は低く、引き続き各蛇口の透明化を確認します。パイロットが回り続ける場合は、無理に通水を続けず、自治体の指定給水装置工事事業者や管理会社へ連絡してください。

3.3 断水情報や工事案内の確認と近隣状況のヒアリング

急な赤水は、水道工事・配水系統の切替・消火活動・停電やポンプ停止など外部要因で一時的に発生することがあります。自治体の「断水情報」「工事のお知らせ」ページやコールセンターで、該当エリアの作業有無・復旧見込みを確認しましょう。マンション等の受水槽方式では、建物内のポンプ停止や槽内の攪拌で一時的に濁ることもあるため、管理会社・管理員にも同様の事象がないかを確認します。

同じ時間帯に近隣でも赤水が出ているなら配水系統由来の可能性が高く、フラッシングで解消するケースが多いです。逆に、自宅だけ・一部系統だけで長引く、金属臭が強い、砂粒状の堆積物が多い等は宅内配管の腐食や詰まりが疑われます。フラッシングで改善しなければ、自治体の相談窓口や指定工事店へ状況(発生時間・出た場所・水の色や臭い・取った写真)を添えて連絡してください。

あわせて、さいたま市「濁り水(赤水)について」が推奨する通り、透明化するまでは飲用を避け、洗濯も控えるのが安全です。復旧後は浄水器・蛇口先端の泡沫器・シャワーヘッドのフィルターを清掃し、必要に応じてカートリッジ交換を行いましょう。

4. 水道から赤サビ 掃除と除去の基本

ここでは、キッチン・洗面・浴室・トイレなどに発生した赤サビ(鉄サビ由来の赤茶色の着色)を、安全かつ効率的に落とすための実践手順をまとめます。作業前に、蛇口から現在も赤水が出ている場合は、東京都水道局の案内にあるとおり透明になるまでしばらく水を流してから着手してください。また、酸性洗剤(クエン酸・酸性トイレ洗剤など)と塩素系(次亜塩素酸ナトリウム)を絶対に混ぜたり連続使用しないこと。事故例と化学的な危険性は東京消防庁の解説を必ず確認してください。

4.1 シンクや洗面ボウルのサビ汚れ除去

ステンレスシンクや陶器製洗面ボウルに出る赤茶色の着色は、多くが「もらいサビ(鉄粉や金属小物由来の錆の移染)」または赤水の乾き跡です。基本は酸で溶かす→十分に水で流す→必要に応じて油脂系汚れをアルカリで落とす、の順で進めます。

手順の目安:1)ゴミ受け・排水口部品を外し、食器用中性洗剤で表面の油膜を軽く洗う。2)赤サビ部にクエン酸水溶液(目安0.5〜3%)をスプレーまたはキッチンペーパーで湿布。3)5〜30分置き、メラミンスポンジやプラスチックたわしで優しくこする。4)十分に洗い流して拭き上げ。5)必要に応じて重曹ペーストでぬめり・皮脂を仕上げ洗いし、再度よく流す。

4.1.1 クエン酸と重曹の使い分けと放置時間の目安

酸(クエン酸)は鉄サビや水垢(炭酸カルシウム)の溶解に有効、重曹は皮脂・石けんカス・臭いの中和や軽い研磨に向きます。同時に混ぜると中和して洗浄力が落ちるため、用途に応じ順番を分けて使います。

汚れの種類推奨洗浄剤濃度・作り方放置時間の目安ポイント
鉄サビの着色(もらいサビ/赤水跡)クエン酸0.5〜3%水溶液5〜30分乾燥防止にペーパー湿布。放置後は十分に水洗い。
水垢・カルキ跡クエン酸2〜5%水溶液10〜30分固着が強い場合はラップで密着。金属メッキは短時間で。
皮脂・石けんカス重曹重曹:水=2:1のペースト10〜20分柔らかいスポンジで円を描くようにやさしく。
混在汚れ順番使用1.クエン酸→水洗い→乾拭き→2.重曹各工程ごと中和を避けるため必ず工程間で十分にすすぐ。

素材別の注意:天然石(大理石・御影石)や一部の人造大理石は酸で腐食・ツヤ引けの恐れがあるため酸性剤は不可。ステンレスは長時間の高濃度酸や塩分放置を避け、使用後は完全に洗い流して乾拭き。メッキ(クロム・ニッケル)は研磨剤で傷が付きやすいため、メラミンや研磨力の高いクレンザーは避けます。

4.1.2 メラミンスポンジとプラスチックたわしの選び方

メラミンスポンジは微細研磨で汚れを物理的に削り落とすため、陶器・ガラス・ステンレスの無塗装面の水垢・サビ跡に有効。一方、メッキ・コーティング面(鏡の防汚コート、樹脂製パーツ)では艶引けやコート剥離の恐れがあるため使用しない。プラスチックたわし(ナイロン不織布など)は、洗剤と併用して軽くこする用途に適し、曲面や排水口部品の清掃に使いやすい。

4.2 蛇口とシャワーヘッドの分解清掃

赤サビや微細な堆積物は、泡沫器(整流器)・ストレーナー・シャワー板の目詰まりを起こし、吐水が乱れたり水が赤茶けて見える原因になります。作業前に止水は不要ですが、小部品の落下防止のためシンクに栓やタオルをセットし、工具は金属面に養生テープや布を当てて傷を防ぎます。

手順の目安:1)吐水口先端のキャップ(泡沫器ユニット)を手で反時計回りに回して外す(固着時は当て布+モンキーレンチで軽く)。2)金網フィルター・座金・Oリングを順に取り外し、パーツの向きと順番を記録。3)クエン酸0.5〜2%に10〜20分浸け置き→柔らかいブラシで目詰まりを除去→十分に水洗い・乾燥。4)Oリング・パッキンにひび・変形があれば新品へ。5)元に戻して手締め→軽く増し締め。6)数秒通水してゴミを排出し、漏れがないか確認。

材質注意:シャワーヘッド本体がABS樹脂の場合は高濃度酸や長時間浸漬を避け、ゴム製吐水板やパッキンは外して別洗い。メッキパーツは短時間浸漬+速やかな水洗いが基本です。

4.2.1 泡沫器フィルターパッキンの点検と交換目安

点検ポイント:1)Oリング/平パッキンのひび割れ・潰れ・弾力低下、2)泡沫器の目詰まりや破損、3)吐水口根元のにじみ・滴下。これらが見られたら清掃で改善しない場合に交換します。交換は、メーカー・品番に合ったサイズのパッキン/Oリングを選定し、向きと装着位置を厳守すること。定期的には清掃のたびに目視点検し、異常時に都度交換するのが実用的な目安です。

注意:固着で外れない場合は無理をせず、メーカーの取扱説明書やサポート情報を確認。再組立て後は手締めを基本とし、工具での締め過ぎによるパッキン潰れ・ネジ山損傷を避けます。

4.3 トイレ便器の赤サビリングの落とし方

便器の水面付近にできる赤茶色のリングは、鉄分の堆積や水垢に付着した鉄の変色が原因です。1)止水栓を軽く閉めて水位を下げる、またはバケツで汲み出して汚れを露出。2)酸性のトイレ用洗剤またはクエン酸2〜5%溶液を塗布し、ペーパーで湿布。3)10〜30分置いたらトイレブラシやプラスチックヘラで優しくこすり、4)洗い流して完了。釉薬を傷める硬質研磨材や金属たわしは不可。黒ずみ(カビ系)に塩素系を使う場合は、酸性剤を完全洗い流してから時間を空けて別日対応に切り分け、酸性剤と塩素系を絶対に併用しないこと(危険性は東京消防庁のページ参照)。

4.4 浴室床壁鏡に付いた赤茶色汚れの対処

浴室の赤茶色汚れは、鉄分が水垢に絡んだものが多く、酸+物理除去が基本です。床・壁タイルはクエン酸1〜3%をスプレーして10〜20分置き、ナイロンブラシで目地に沿ってこすり、十分に洗い流す。エプロンや樹脂パネルは酸の長時間放置を避け、試し塗りをしてから短時間で処理します。鏡はクエン酸湿布(2〜5%)で水垢と一緒に赤茶色を浮かせ、やわらかい布で拭き取り。防汚コートや親水コートがある鏡にメラミンスポンジは不可です。カビ汚れに塩素系を使う場合は、酸性清掃と日を分け、必ず十分な換気と保護具を使用してください。

対象素材使える洗浄剤の例避けたい洗浄剤・道具道具・仕上げ注意点
ステンレスシンククエン酸(短時間)・中性洗剤高濃度酸の長時間放置、金属たわしメラミン(軽圧)→完全水洗い→乾拭き塩分や酸残留で発錆しやすいので拭き上げ必須
陶器(洗面・便器)クエン酸・酸性トイレ洗剤金属たわし、硬質研磨石便器は水位を下げて湿布→やわらかブラシ釉薬を傷めないよう強研磨は避ける
メッキ水栓クエン酸(低濃度・短時間)・中性メラミン(強擦り)、酸の長時間放置柔らか布と綿棒で細部清掃→乾拭き点状腐食を防ぐため必ず水洗い・乾燥
浴室タイル・目地クエン酸・中性強酸の長時間湿布(白華やエフロは別処理)ナイロンブラシ→十分な水洗い天然石調タイルは酸適合を事前確認
鏡(コート無)クエン酸湿布メラミン(コート有は不可)、研磨剤やわらか布で拭き→スクイジーで水切りコート有無は取説やメーカー情報で確認
樹脂パーツ(ABS等)中性・低濃度クエン酸(短時間)溶剤、強酸、長時間浸漬柔らかスポンジ→すぐ水洗い変色・クラック防止に試し洗い

仕上げの共通原則:1)酸や重曹を使った後は必ず大量の水で洗い流す、2)金属面は水滴を残さず拭き上げて再発(再錆・水垢)を抑える、3)赤水が発生しやすい期間は、夜間や外出前に濡れたまま放置しないこと。赤水や濁りの基本的な対処や注意点は東京都水道局の案内も参考になります。

5. 布衣類に付着した鉄サビの除去

衣類についた赤サビ(鉄サビ)の正体は、繊維に付着・固着した酸化鉄です。皮脂や泥などの有機汚れと違い、洗濯用洗剤や酸素系漂白剤だけでは落ちにくく、処理を誤ると黄ばみや色ムラを残します。まずは洗濯表示(JIS記号)を確認し、色落ちテストを行ったうえで、サビの性質に合った手順を選びましょう。日本石鹸洗剤工業会は、鉄サビの変色には還元系の処理(ハイドロサルファイトやシュウ酸など)で回復できると解説しています。参考:日本石鹸洗剤工業会「お洗濯119番|鉄分の付着による変色」

薬剤タイプ主成分の例鉄サビへの適性使える衣類の目安注意点
弱酸性の前処理クエン酸、食酢(酢酸)◯(酸化鉄を溶解除去しやすい)白物・淡色の綿、麻、ポリエステルなど濃色やデリケート素材(ウール・シルク)は色落ちに注意。塩素系漂白剤とは絶対に混ぜない
酸素系漂白剤過炭酸ナトリウム、過酸化水素など△(サビそのものには効きにくい)色柄物を含む多くの素材サビ除去の主役ではなく、前処理後のくすみ・ニオイ対策として別工程で使用。
還元系漂白剤(衣料用)二酸化チオ尿素、ハイドロサルファイト等◎(サビの色素を還元・可溶化)白物中心。色柄物は目立たない所でテスト製品表示に従い温度・時間を厳守。金属付属のある衣類は避ける。

塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム等)と酸性のもの(クエン酸・酢・酸性洗剤)を一緒に使うのは厳禁です。家庭用品品質表示法の手引きでも、塩素系と酸性の混合による有害な塩素ガス発生について強い注意表示(「まぜるな危険」)が義務づけられています。参考:消費者庁「衣料用・台所用・住宅用の漂白剤(家庭用品品質表示法)」

5.1 酸性洗剤と酸素系漂白剤の使い方

鉄サビの基本は「酸でゆるめる→中性洗剤で洗う→必要に応じて仕上げ漂白」の三段構えです。酸性前処理は、サビ(酸化鉄)を溶かして繊維から浮かせる狙い、酸素系漂白剤は前処理後に残ったくすみ・汗じみなどの有機汚れを酸化分解する狙いで、同時使用ではなく工程を分けるのがポイントです。

推奨フロー(色柄物は必ずパッチテスト)

  1. 準備:ゴム手袋を着用し、換気を確保。衣類の金属ボタン・ファスナー周りは薬剤が触れないように保護するか、パーツが外せるなら外す。
  2. 酸性の前処理:クエン酸水(市販粉末を水に薄く溶かしたもの)または食酢をサビ部分にだけ塗布し、数分~短時間置いて様子を見る。叩き出す要領でタオルに移し取り、水でしっかりすすぐ。
  3. 中性洗剤でやさしく洗う:部分洗い後、通常の洗濯。ここでサビの赤みが残る場合は、還元系へ(次見出し)。
  4. 仕上げに酸素系漂白剤を別工程で:色柄物対応の酸素系漂白剤(液体ジェル等)を製品表示の用法・時間で使用。目的はくすみ・ニオイの除去と明度回復であり、サビ本体の除去ではありません。

注意事項

  • 塩素系漂白剤と酸性のもの(クエン酸・酢・酸性洗剤)を絶対に混ぜない/連続で使わない。使用後はよくすすいでから次工程へ。根拠:消費者庁の表示基準
  • 酸は色素を抜く力があるため、濃色やウール・シルク・レーヨンなどデリケート素材は目立たない箇所で色落ち確認を必ず行う。
  • 酸素系漂白剤はサビそのものを落とす目的には不向き。サビが主因の場合は、次項の還元処理が近道。

5.2 還元型サビ取り剤を使う際の注意点と色落ち対策

還元系漂白剤(二酸化チオ尿素やハイドロサルファイトなど)は、酸化鉄の色素を還元して水に溶ける形に変え、効率的にサビを除去します。衣料用の代表的な製品として知られた花王「ハイドロハイター」は、2025年3月31日に製造終了となっていますが、製品ページには処理の考え方(温度・時間の守り方など)が示されています。参考:花王「ハイドロハイター(還元系漂白剤)」製品ページ

基本手順(還元系)

  1. 衣類の洗濯表示と製品ラベルを確認。色柄物はパッチテスト必須。
  2. 製品表示どおりの温度(例:40~50℃のぬるま湯)で薬剤を完全に溶かす。
  3. サビ部分を中心に浸し、表示時間内(例:30分以内~最大2時間以内)を厳守。時々軽く揺すって薬液を行き渡らせる。
  4. 十分にすすぎ、中性洗剤で通常洗濯。陰干しで乾燥。

色落ち・素材劣化を防ぐポイント

  • 白物(生成り以外)向けが基本。蛍光増白加工や特殊仕上げのある衣類はテスト後に判断。
  • 金属付属(ファスナー・ホック・ボタン)に薬液が触れると腐食・変色のおそれ。極力避ける。
  • ウール・シルクは短時間にとどめ、表示時間の下限で様子を見る。
  • 還元系は酸素系や塩素系の漂白剤と混用しない(効果低下やガス発生などの危険があるため)。混用禁止や注意表示は各製品ラベルおよび法定表示に従う。根拠:消費者庁の漂白剤表示基準

うまく落ちないときの見極め

  • サビが広範囲・高濃度で繊維深部まで侵入している、あるいはサビと同時に染色が損傷している場合は、完全な回復が難しいことがあります。
  • 色柄物の高価衣料やデリケート素材は、無理をせず早めにクリーニング店(シミ抜き)に相談を。還元処理や酸処理の併用など専門設備が有効なケースがあります。理論背景:日本石鹸洗剤工業会|鉄分変色の回復方法

6. 赤サビの予防と再発防止

赤水(赤サビ混じりの水)は、発生の都度「流して澄ませる」対症療法だけでなく、日常のフラッシング習慣づくり・フィルターの正しい運用・配管更新の計画化という三本柱で予防し、再発を最小化することが重要です。

6.1 定期的な配管洗浄とフラッシングの習慣化

赤サビは、宅内配管の内壁に付着した酸化鉄や堆積物が流速変化で剥がれ、蛇口まで運ばれることで発生します。予防の基本は、水が長時間滞留したあと(朝一番・旅行や出張後・断水や工事の後など)に、上流側の蛇口から順にフラッシング(通水洗浄)することです。自治体の案内でも、濁りや赤色の水が出た場合は透明になるまでしばらく水を流してから使用することが推奨されています(参考:大阪市水道局「よくある質問と回答」)。

フラッシングのポイントは、①元栓・止水栓を全開にする前に安全を確認する、②屋外散水栓→洗面→キッチンの順など上流から段階的に開く、③給湯器・全自動洗濯機などの機器は必ず清澄を確認してから使う、の3点です。勢いよく開けると空気混入で白濁・跳ね返りの原因になるため、各蛇口はゆっくり開閉し、流速を徐々に上げていくのがコツです。

タイミング推奨するフラッシングの目安併せて行う確認
朝一番・長時間不在後上流側から順に30~60秒程度ずつ。濁りや臭気があれば延長。泡沫器・ストレーナーの目詰まり、鉄っぽい臭いの有無。
断水・工事後の再開時屋外散水栓(あれば)で先に洗い出し、その後屋内各蛇口へ展開。透明化の確認、機器(給湯器・洗濯機)への給水は最後に。
受水槽方式の建物管理者の指示に従い、系統ごとに段階的に通水。貯水槽の清掃・点検履歴、流入側バルブの開閉手順。

フラッシング後も赤サビが繰り返し出る場合は、宅内配管の腐食進行や給水方式に起因する慢性的な要因が疑われるため、早期に指定工事店や管理会社へ相談しましょう。

6.2 前置フィルターや浄水器の導入とメンテナンス

前置フィルター(配管の入り口付近で粒子をこし取るフィルター)は、サビ粒子や砂粒の捕捉に有効です。ただし、フィルターは「赤サビの原因(配管腐食)」そのものを直すものではなく、目詰まりすると二次的に水量低下や衛生リスクを招くため、定期的な清掃・カートリッジ交換が不可欠です。

また、シンク下や蛇口直結型の浄水器は、残留塩素や濁度を低減できますが、残留塩素を下げることで機器内部の水に細菌が増殖しやすくなる点に注意が必要です。公的機関も、朝一番や長時間未使用後は一定時間の通水、カートリッジは取扱説明書に従って定期交換、浄水は早めに使うことを促しています(参考:東京都保健医療局「浄水器の衛生管理」)。

装置主な役割必須メンテナンス注意点
前置フィルター(メッシュ・不織布など)サビ粒子・砂の捕捉、機器保護。定期洗浄・交換、透明ハウジングなら目視点検。目詰まりで圧力低下。根本原因(腐食)対策は別途必要。
蛇口直結/据置型浄水器残留塩素・濁り・臭いの低減。カートリッジ交換、未使用後の初流し。長期未交換は水質悪化の恐れ。お湯通水不可の機種に注意。
全館タイプ(元栓側)住戸全体で粒子低減・配管保護。差圧監視、定期交換。設置・点検は専門業者へ。圧力損失と給水能力のバランス調整。

選定時は、用途(飲用/家事全般/機器保護)、交換のしやすさ、カートリッジ費用、記載された性能(日本水道協会JWWAマーク等)を総合評価し、「つけて終わり」ではなく運用・保守まで含めた計画を立てましょう。

6.3 給水管交換の目安年数費用相場と材質選び

6.3.1 交換判断のチェック

次のような兆候が複数当てはまる場合、計画的な更新を検討します。①複数の蛇口で赤水が頻発し、フラッシングしても短期で再発する、②泡沫器やストレーナーに赤茶色の粒子が繰り返し堆積する、③水圧低下やピンホール漏水の発生、④宅内に古い亜鉛めっき鋼管・鉛管が残存している、など。自治体によっては老朽管の改良を推進し、耐食性の高い管種への更新を案内しています(例:横浜市「老朽給水管改良促進事業」)。

6.3.2 材質選びの考え方

更新先は、耐食性・施工性・将来のメンテナンス性で比較します。一般に、ステンレス管(SUS316系)、波状ステンレス鋼管(フレキシブル)、水道用ポリエチレン二層管、耐衝撃性硬質塩化ビニル管(HIVP)、水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管(SGP-VB)などが使われます。自治体の事業でも、耐震性や耐食性に優れるステンレス管等が採用されています(前掲横浜市水道局)。

管材特徴主な用途留意点
ステンレス鋼管(SUS316系)高い耐食性・耐久性。耐震性に優れる。戸建て・集合住宅の幹線、引込。初期コストはやや高め。適正施工が前提。
波状ステンレス鋼管フレキシブルで施工性良好。継手点数を抑制。リフォーム時の更新、狭所配管。適合継手・工具の選定が重要。
水道用ポリエチレン二層管軽量・耐食・凍結割れしにくい。戸建ての屋外埋設や引込。曲げ半径・耐熱条件に注意。
HIVP(耐衝撃性硬質塩ビ)軽量・施工容易。価格安定。屋内の枝管など。高温・紫外線環境は避ける。
SGP-VB(塩ビライニング鋼管)内面ライニングで防食。実績多数。屋内配管の更新。損傷部の補修・切断時の処理に注意。

6.3.3 費用の考え方と見積もりの取り方

配管更新の費用は、管種・延長・露出/隠蔽・床や壁の復旧範囲・同時に交換する器具(止水栓・メーターまわり)・工法(更生/更新)で大きく変動します。公的に統一された「相場」は存在せず、現地条件で上下するため、複数の指定工事店から図面・現況写真を添えて見積もりを取り、内訳(材料・手間・復旧・諸経費)の妥当性を比較するのが確実です。長期的には、漏水や度重なるトラブル対応費を避けられる分、トータルコストが抑えられるケースもあります。

6.4 マンションと戸建てで異なる対策ポイント

6.4.1 マンション(分譲・賃貸)

集合住宅では、共用部分(縦配管・メーターユニット・受水槽や直結増圧設備など)は管理組合(または所有者・管理会社)が維持管理を担います。赤サビの予防は、受水槽方式なら貯水槽の清掃・点検と系統ごとの段階的フラッシング、直結増圧方式ならポンプと逆止弁・圧力の管理、各戸では朝一番の通水習慣と泡沫器・ストレーナーの定期清掃を組み合わせるのが基本です。工事・断水時は事前周知と復旧手順の共有を行い、清澄確認後に機器を使用します(断水・濁り時の注意は各水道局の案内を参照:例として大阪市水道局の案内)。

6.4.2 戸建て

戸建ては所有者が配管・器具類の維持管理主体です。赤サビの予防では、①元栓直後に前置フィルターを設置し定期点検、②長期不在や工事後のフラッシングを習慣化、③築年に応じて配管材の更新計画を立てる、④屋外給水管の露出・凍結・電食(異種金属接触)対策を行う、といった手順が有効です。赤水が頻発する場合は、配管材の更新(耐食材への置換)と、器具側の清掃・更新を同時に実施すると再発防止に効果的です。

いずれの住宅形態でも、「日常のフラッシング」→「フィルター適切運用」→「配管更新の計画化」という段階的アプローチを徹底することで、赤サビの再発リスクを着実に下げられます。濁りが長引く・金属臭が続く・粒子が大量に出るなど異常がある場合は、自治体の窓口や指定工事店に相談し、水質(鉄・マンガンなど)や配管状態の点検を受けましょう。なお、断水・工事後の復旧時の使い方や濁り水への対応は、各自治体の公式情報を必ず確認してください(例:大阪市水道局Q&A、浄水器の運用留意点:東京都保健医療局、配管材の代表例:横浜市水道局)。

7. プロへ依頼すべきサインと相談先

赤サビ(赤水)が「数分以上流し続けても収まらない」「繰り返し発生する」「粒状のサビ片が出る」「複数の蛇口・フロア・戸で同時に起きる」などのときは、自己対応だけで判断せず早期に公的窓口や専門業者へ相談してください。長引く赤サビは配管腐食や貯水設備の管理不良、工事・断水の影響、道路側の配水管トラブルなどが潜むことがあり、飲用・家財への影響や二次被害(漏水・詰まり)を招きます。

症状の出方想定箇所主な原因候補まず連絡すべき窓口次のアクション
建物全体・複数戸で同時に赤水/濁り共用部(立て管・受水槽・加圧設備)~配水管断水・工事後の堆積サビ、配水管の流速変化、貯水槽管理不良管理会社(マンション)/水道局(戸建・周辺一帯)発生日時・写真/動画を添え状況共有。近隣の発生有無を確認。
特定の系統や1つの蛇口のみで赤水専有部の給水管・止水栓・水栓本体・シャワーヘッド配管の局所腐食、ストレーナー詰まり、器具内部のサビ指定給水装置工事事業者現地調査・系統切り分け・見積書取得(相見積もり推奨)。
断水・工事復旧直後に赤茶色が続く道路側~建物引込・共用配管配水管内の堆積物巻き上がり、エア混入水道局/管理会社工事・断水情報の確認、公的窓口に復旧見通しを相談。
受水槽方式の建物で赤水・異臭を伴う受水槽・高架水槽・ポンプ・槽内堆積物清掃・点検未実施、消毒不良、腐食管理会社(管理組合)法定点検・清掃の履歴確認、必要に応じ専門業者手配。
道路・敷地で漏水の兆候がある(地面のぬれ・異音)配水管・引込管管の損傷・老朽化水道局危険回避のため近寄らず、場所を特定して通報。

「どこに連絡するか迷ったら、建物の管理主体(管理会社・家主)か水道局へ最初に相談」が鉄則です。状況整理のため、発生日時、継続時間、発生場所(台所・洗面・浴室・給湯/給水の別)、写真・動画、近隣の発生有無、直近の工事・断水情報を手元に用意すると話がスムーズです。

7.1 水道局に相談すべきケースと連絡の流れ

広範囲(周辺の住宅・同一フロア複数戸・建物全体)で同時発生している、断水や工事の復旧後に長時間改善しない、道路・敷地で漏水の可能性があるなどのケースは、水道事業者(各自治体の水道局・水道局営業所・お客さまセンター)に連絡が優先です。配水管や引込管、共用部の事象は個人では対処できません。

  1. 自治体の工事・断水・水質情報を確認します(公式サイトの「お知らせ」「工事情報」など)。情報が見つからない・改善しない場合は次へ。
  2. 水道局に状況を伝えます。住所(建物名・部屋番号)、発生日時・継続時間、発生する蛇口数と場所、色(赤茶・黒っぽい・黄ばみ)や粒状の有無、写真・動画、近隣の発生状況、直近の工事告知の有無を整理して伝達します。
  3. 担当から指示があれば、影響範囲の確認や安全のための暫定措置(飲用・調理への使用を控える、洗濯を一時中断する等)を行います。必要に応じて水質検査や現地確認が実施されます。
  4. 集合住宅の場合、共用部の点検・洗浄・弁操作などは管理会社・管理組合と連携して進みます。案内に従い情報共有を続けましょう。

「周辺でも同様の赤水が発生」「断水・工事情報とタイミングが一致」「道路で湧水・噴出・振動音」のいずれかに該当する場合は、公的窓口の確認が最短ルートです。

7.2 指定工事店設備業者に連絡する判断基準

建物外や共用部ではなく、専有部の局所的な発生(特定の蛇口・系統のみ、流し始め数十秒だけ赤い、ストレーナーにサビ粒が溜まる、給湯側だけで出る)といった特徴がある場合は、指定給水装置工事事業者へ調査・修繕を依頼します。

依頼時のポイントは次のとおりです。

  • 資格・指定の有無を確認:自治体が指定する「指定給水装置工事事業者」であるか、登録番号・有効期限・対応エリアを事前確認。
  • 原因の切り分けを実施:系統ごとの弁操作での切替試験、器具(泡沫器・ストレーナー)点検、配管内の堆積状況確認、必要に応じて簡易水質(鉄・マンガン・濁度)チェックや内視鏡調査を提案できる業者を選定。
  • 見積の妥当性を確認:工事範囲(起点・終点)、使用材質(ステンレス・架橋ポリエチレン・銅管など)、施工方法、復旧範囲(壁・床開口の補修含む)、撤去材の処分、出張費・諸経費、施工保証期間・内容を明記。可能なら2~3社の相見積もり。
  • 施工と報告:着工前後・途中・完了時の写真、交換部材の型番、弁・配管の系統図、試運転・フラッシング後の状況を報告書で受領。
業者に伝えるとよい情報チェックの具体例
建物情報築年数/給水方式(直結・直結増圧・受水槽)/過去の配管更新履歴
発生状況場所(台所・洗面・浴室)/給水・給湯の別/時間帯/継続時間/頻度
目視所見水の色味(赤茶・黄ばみ・黒っぽい)/粒状の有無/金属臭の有無
記録写真・動画/器具のストレーナー・泡沫器の状態写真/工事・断水の掲示写真

無資格業者や、原因特定を省いて高額な全面更新を即提案する事業者は要注意。再発防止の観点から、原因に応じた最小限かつ効果的な対策(配管更新・系統入替・機器交換・洗浄)を比較検討しましょう。

7.3 賃貸での管理会社への連絡と費用負担の考え方

賃貸住宅では、まず管理会社(または家主)へ連絡し、承諾なく独自に工事を発注しないのが基本です。専有部と共用部のどちらに原因があるかで費用負担が変わるため、管理側での現地確認や手配が必要になります。

  • 共用部分起因(立て管・受水槽・共用配管・加圧設備など):原則として所有者/管理組合の負担で点検・修繕。住戸単位での判断が難しいため、管理会社の一次対応が先行します。
  • 専有部分起因(室内の給水管・止水栓・水栓・シャワーヘッド等):通常は貸主負担の設備修繕に区分されますが、入居者の故意・過失や消耗品交換に該当する場合は入居者負担となることがあります。契約書・重要事項説明書・管理規約の「設備・修繕」「負担区分」を確認しましょう。
  • 手続と書面化:管理会社への連絡日時、担当者名、指示内容、業者の見積書・作業報告書、費用負担者(貸主/入居者/管理組合)の合意をメール等で記録。衣類や什器の被害がある場合は写真と購入時期・金額の記録を残します。
  • 保険の確認:家財の汚損が生じた場合、加入中の火災保険(家財・個人賠償など)で補償対象となることがあります。管理会社の指示に従い、原因・過失有無の調査結果をもって保険会社に相談します。

入居者としては、発生状況の記録(写真・動画・洗濯被害品の保管)と、管理会社への早期連絡・指示待ちが最優先です。共用部の点検・受水槽の清掃・フラッシングなどの手配は管理側の責務となるため、日程調整と情報共有を丁寧に進めましょう。

8. よくある質問

8.1 赤サビの水を飲んでしまったときの対処

赤茶色(赤水・濁り水)は、多くが配水・給水管内の鉄サビの巻き上がりによる一時的な変色で、通常は外観や味・臭いに関する問題であり、急性の健康被害は起こりにくいとされています。日本の水道水は消毒が行われ、鉄(Fe)については水質基準0.3mg/L以下が定められています(環境省「水質基準項目等」)。ただし、濃度が高い赤水を多量に飲むと、腹部不快感や嘔吐・下痢などの消化器症状が出ることがあり、特に乳幼児は念のため医療機関に相談が推奨されています(さいたま市「濁り水(赤水)について」)。

まずは以下を冷静に確認しましょう。飲用・調理は透明度が回復するまで控え、ペットボトル水や一時的な代替水を利用します。

状況推奨対応
口に含んでしまった/少量を飲んだ口をゆすぎ、体調の変化がないか様子を見る。気になるときは水分をとって安静に。乳幼児・高齢者・妊娠中の方・鉄代謝に関わる持病(例:ヘモクロマトーシス)をお持ちの方は、念のため医療機関に相談。
蛇口から明らかな赤水が出る飲用・調理を中止し、泡沫器やストレーナーを外した状態で、最も近い蛇口(屋外水栓があれば優先)から数分〜10分程度フラッシング(放流)。透明になったか透明容器で確認。
断水・工事・消火活動・停電復旧直後一時的な赤水発生が典型。東京都水道局「水に色がついている(濁っている)」が案内するように、しばらく水を流して透明化を確認。長引く場合は所管の水道局や管理会社へ連絡。
洗濯中に着色が見えた直ちに運転停止。着色水は排水し、衣類は濯がずにそのままにしておく(乾燥させない)。透明水で再洗いし、落ちない場合はサビ取り剤の使用を検討。

次の行為は避けてください。赤水が続くのに飲用・炊飯を強行する/酸性剤と塩素系漂白剤を混ぜる(有害ガス発生の危険)/金属たわし等で配管端部や蛇口内面を強くこするなど。

赤水が収まらない、粒状異物が繰り返し出る、特定の蛇口だけで続く、鉄臭・金属味が強い等は、宅内配管や器具の劣化が疑われます。集合住宅は管理会社・管理組合、戸建ては所管の水道局または指定工事店に相談しましょう(所管例:東京都水道局さいたま市水道局)。

8.2 ポットや電気ケトルの赤茶色の湯あか対策

ポット・電気ケトルの赤茶色汚れは、主に鉄サビ(酸化鉄)やミネラル由来のスケール(炭酸カルシウム等)です。安全性に直ちに問題はありませんが、臭い・味・見た目を損ねるため、定期的な除去が有効です。以下は一般的な方法です。必ず各機器の取扱説明書の指示を優先してください。

目的推奨クリーナー基本手順ポイント
鉄サビ・軽度のスケール除去クエン酸(食品・洗浄用)満水線まで水を入れ、クエン酸を約5〜10g/L目安で溶かす→加熱(または保温)→電源OFFで1〜2時間放置→排水→清水で数回すすぐ。におい残り防止のため十分にすすぐ。パッキン等のゴム部品は取り外して別洗いすると効果的。
頑固な輪ジミ・点サビクエン酸パック+メラミンスポンジやプラたわしクエン酸溶液を含ませたキッチンペーパーで湿布→30分程度置く→やさしくこする→すすぎ。金属たわし・研磨力の強いクレンザーは内面コーティングを傷める恐れ。
ニオイ・ヌメリのリセット酸素系漂白剤(ステンレス可否は取説で要確認)規定濃度で短時間つけ置き→十分にすすぎ→空だきせず自然乾燥。塩素系漂白剤はステンレス腐食やゴム劣化の原因、酸との混用厳禁。

材質別の注意点は次のとおりです。

材質避けるべき薬剤・道具メンテ頻度の目安
ステンレス(内びん)塩素系漂白剤長時間放置、硬い金属たわし。クエン酸洗浄を月1回〜水質や使用頻度に応じて。
樹脂(プラスチック)高濃度溶剤、強い研磨剤。におい移りを防ぐため定期すすぎ+週1回の軽い洗浄。
ガラス硬質研磨剤での強擦り。スケールが見えたらその都度クエン酸で除去。

蛇口側に原因がある場合(泡沫器の網へのサビ堆積やストレーナーの詰まり)も多いため、蛇口の分解清掃とフラッシングを併用すると再発防止に役立ちます。

8.3 赤水は季節で出やすさが変わるのか

季節そのものが直接の原因になるわけではありません。赤水は、断水・工事・停電復旧・消火活動・大規模漏水などに伴い、水の流速・水圧・流向が急変して管内のサビや堆積物が巻き上がると発生しやすくなります(さいたま市「濁り水(赤水)について」)。また、東京都水道局も、工事や突発事故等による一時的な鉄サビ流出を原因として挙げ、透明になるまで水を流す対処を案内しています。

一方で、季節と関連し得る間接要因はあります。例えば、冬期は凍結・破損による工事発生が増えやすい、猛暑期は断水・消火活動が増える、長期休暇後の初通水や朝一番の初水は配管内滞留水の影響で濁りやすい、といった条件です。いずれも季節というより「使用状況や配水条件の変化」がトリガーです。

赤水が頻発・長期化する場合は、宅内配管(特に亜鉛めっき鋼管など旧配管)の腐食や、受水槽・貯水槽の管理不良も疑われます。集合住宅では管理会社や貯水槽の管理者へ、戸建てでは所管の水道局・指定工事店へ相談し、必要に応じて水質検査や配管洗浄・更新を検討してください(参考:東京都水道局「水に色がついている(濁っている)」)。

9. まとめ

赤サビは主に宅内配管の腐食、断水後の堆積物の攪拌、受水槽の管理不良が原因。まず元栓・止水栓を確認し順にフラッシング、蛇口の泡沫器やストレーナーを清掃。改善しなければ水道局や指定工事店に相談を。予防は定期通水・前置フィルター・老朽管更新。赤水は原則飲用を避け、透明化を確認して使用するのが結論。賃貸は管理会社へ連絡し負担区分を確認。

こちらのコラムの監修者

水道局指定工事店 株式会社アクアサービス

株式会社アクアサービス 株式会社アクアサービス X(twitter)アカウント
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